上行寺 旭之祖師 日蓮宗 示迹山

上行寺ブログ

あれから20年・・・

先日、日蓮宗新聞を読んでいるとある記事が目に入った。
それがこちら⇩

総本山である身延山久遠寺の布教部長・豊田上人による【僧道実修生制度】の紹介文だった。
懐かしいな・・・
そう思いつつ読み進めていくと、、、
ある一文に息を呑む・・・
それは、
「今年で開設以来48期を迎え・・・・」
なぜこんな一文でと思うかもしれないが、
私自身、身延山僧道実修生として一年間身延山で修行をさせていただいた身であり、第28期の修了生だからだ。

そこで一番に頭に浮かんだのが、、、
今回のブログタイトルにもある「あれから20年・・・」という感慨深い感情だった。

高校から進学を希望した時、何を専攻して勉強していきたいか考えた。
せっかくなら好きな事・興味がある事を専攻しよということで「歴史・考古学」と決めた。

そんな訳で進学先の大学をいくつか選び、受験をすることとなった。
史学科自体が偏差値が高く、当時の自分の学力ではなかなか合格にたどり着けなかったが、最終的に合格した立正大学文学部史学科に入学出来た。

立正大学は日蓮宗の学府であり、今となっては仏縁だったのかもしれない。
そんな大学で、将来を決めるきっかけとなる出会いがあった。
同じく史学科に入学してきた二人の寺の息子たちである。
その二人は私と同じく地方出身で、熊谷キャンパス内の日蓮宗立学寮に入寮していた。
私はというと、気楽な一人暮らし。
二人を見ながら「大変だなー」と思いつつ過ごしていた。
そんな二人と知り合い、他の学寮生ともいろいろと話をするようになった。
そして、、、
「将来」について考えるように・・・
大学入学時はその後のプランがなかった私が、”僧侶”について考えるきっかけを与えてくれたのはこの二人に出会えたからこそ。
まさしく”仏縁”だった。

時が流れ、、、
同級生たちが就職活動に苦労している頃、私は僧侶の道に進む決心をした。

そして卒業後は身延山僧道実修生として1年の修行に入ることとなる。
私の師父である先代住職も僧道実修生出身で、同じ組寺の諸先輩方にも修了生がいた。
それもあってこの道を勧められ、右も左もわからない私は勧められるがままに面接を受ける。

その時の布教部長は現在の池上本門寺貫首・菅野猊下。
何を聞かれてどう答えたかは憶えていませんが、、、
「春からここで生活するのか・・・」
と複雑な思いになったような気がする。

大学はというと、卒論も合格し無事卒業することが出来た。

そして2004年4月、同級生たちがそれぞれ入社してから遅れること数日、ついに身延山僧道実修生として久遠寺での修行に入ることに。

その時の私がこちら⇩

若い(笑)

全く余裕がない表情・・・
当時の心情が駄々洩れ(汗)

こうして始まった僧侶の第一歩。
本当に慣れないことばかり、足は痛いしお経は読めない。
早起きは辛い、眠い。
まさに悪戦苦闘の毎日・・・

読経や声明・所作・法話作りから書道に茶道、毎日が勉強。
多くの方々にご指導いただき、今考えると大変貴重な日々だった。
また1年を通して身延山の四季に触れ、様々な行事を経験し、身延山をより身近な存在として感じられるようになったのは実修生生活のおかげ。
この思いは今も変わらず持ち続けている。

身延山久遠寺は日蓮宗総本山。
宗祖日蓮聖人が創建し、9年修行され多くの人を教化した聖地。

しかし、現在は信行道場という僧侶としての資格を得るための35日間しか過ごさない方が大多数であり、学生や僧道実修生として総本山で修行する方は少なくなるばかり。
僧侶を志す人が減ってきている現状では致し方ないと思うが、少し寂しい・・・

20年前は焼津から早くても1時間半以上かかった身延まで道のりも、今は1時間を切るようになった。
近くなった分だけ足繫く通っているかと言われると、そのような訳でもない。
私自身も年に数度訪れるほどだ・・・
また子供たちを連れてお参りに行こうと思う。


先日12日の身延講の際に、この20年前の話をしつつ20年後について「どうなっていますかね?」と聞いてみたら、、、
みんな口を揃えて「死んでるよ(笑)」と言われてしまった。

私自身も20年後に生きているかの保証はない。
”一寸先は闇”とはよく言ったもので、先のことはわからない。
蓮を二株譲ってもらったことがきっかけで、こんなにも蓮を育てるようになるとも思わなかった。
高校時代は部活の練習が嫌で嫌でしょうがなかった自分が、昨年サッカー指導者のライセンスを取得するようになるとは微塵も思わなかった。
本当にわからないものである。

今までも多くの失敗をしてきたし、これからも失敗をするだろう。
それでも、、、
20年前に恩師や多くの方々にお教えいただいたことを忘れず、これからも努力精進していく所存だ。

「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」
カナダの精神科医 エリック・バーンの言葉

これからもチャレンジをしていこう!

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