上行寺 旭之祖師 日蓮宗 示迹山

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彫刻チャレンジ 第3話

▽前回までのお話はこちら▽
彫刻チャレンジ 第1話
彫刻チャレンジ 第2話


ここからは文字通り手作業・・・
彫刻刀で彫り進めていった。

しかし、、、
5~8月は全く掘り進めていなかった。
 
理由はある。
要は「気が乗らなかった」のである・・・
 
今まで作業を屋外で行っていた。
そのため、夏に向かうにつれて問題が出てくる。
そう、“暑さ”である。

それと同時にもう1つ、、、
“蚊”だ。
境内で蓮を育てている。(蓮育)

蓮の鉢は常に水を張っているので、蚊の発生地になっている。
そのため、水遣りの時は毎回どこかしら刺されている。
“暑さ”と“蚊”のせいにして手が止まっていたのだ・・・

もちろん“繁忙期”だったこともある。
6月は施餓鬼塔婆の準備、7月8月はお盆。
普段の法務(僧侶の仕事)の合間に彫刻をしているので、忙しくなれば時間が割けなくなるのも事実・・・

もっとも、それは単なる“言い訳”である。
やらない(出来ない)理由探しをしていただけ。
この彫刻から背を向けていた(向けたかった)だけのこと。
そのようなことをして自分で自分を苦しめるのは明らかなのだが、まだどこか余裕があった・・・
 
そして、、、
休止期間を経て作業を再開したのは9月に入ってから・・・
第1話で書いたように、この大黒天彫刻の期限は翌年の大黒祭。
もう残り4ヶ月を切っていた。
さすがに「これはやらないとヤバい・・・」と思い始めたのである。
 
まだ残暑厳しい時期だったので、作業場所を屋外から書院に移して彫りを再開した。

エアコンの効いた屋内での作業は快適である。

作業は彫刻刀を使って図面を見ながらコツコツと彫り進めるという地道なもの。
彫り進めていけばいくほど大黒天は“形”になっていく・・・

ただし、
問題も浮き彫りになってきた。
それは「彫りすぎ」もしくは「彫る必要がなかった」箇所についてである。
作業が進むにつれて、初期に彫り進めた箇所で不必要に彫ってしまった箇所が露わになってきたのだ。
自分でもなぜこのように彫ったのかわからない・・・
その時は図面を見た中で彫り進める必要性を感じていたのだろう。
今考えると、それらは大黒天に丸みを出すのに必要なものであったと理解できる。
もっと図面や実物の大黒天を見比べながら進めるべきだったが、その時はそこまで考えが至らなかった。
これらは最後の仕上げに至る段階で修正していった。
 
ある程度彫り進めていくと、ついにご尊顔(お顔)に刃を入れることとなった・・・
 
次回に続く・・・

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